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文脈の中でとらえうると考える。

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Fig-1 Background of study

Fig.-1に示すようにR.M.理論とは、企業経営の管理理論の一つで、「企業の安定的発展を図る上で、災害など企業内外の問題(障害)発生によって企業が受けるマイナス影響(ハザード:障害)を、金銭コスト(リスク:危機)という統一された評価基準により、事前に把握し、改善につながる最優先に着手すべき課題およびその改善策について検討を行う」ものである 4)5)。

Table-1. Concept of Risk-Management

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本研究では、R.M.の評価対象を、本土地域(都市)を含めた地域とし、リスクの評価を人口減少という離島が抱える根本的な問題に,リスクの発生を促すハザードは離島内外の環境要素(立地特性と社会特性)に置き換えて把握する。離島においてリスクを、人口つまり人の動きによって評価する意味として、
1. 現在抱える多くの問題が、住民あるいは技術者など人的な資源の不足、または不効率的な島内整備(需要と供給のバランス悪化)によるところが大きいこと
2.離島の置かれた立地特性から定住化、地域間移動など数量的な評価が容易であること
などが挙げられる。R.M.理論は、リスク改善を促す方策、つまりリスクに係わるハザードの軽減を主とした一連の手法を有するのが特徴の一つである。例えば、対処策としてリスクの分散、リスクの集約といった2つの方策がある。リスクの分散は,ハザードをより多く機関が分担して保持することにより、集中的なリスクの発生を回避する事を目的とした方策である。リスクの集約とはその逆で、ハザードを、その改善能力が最も高いと思われる特定の機関が集中して保持することにより、その他多くの機関のリスク発生を回避することを目的とした方策の意味である。
本研究における概念をふまえ、より効率的な整備を思慮すると、本土地域との相互振興を含めた,より広域的な整備が今後の離島地域にとって必要である。よって、R.M.理論の中でのリスクの分散を、離島個々の島内充足による整備と捉えた場合に、リスクの集約は、拠点離島を中心とした地域内のネットワーク化による整備により捉えることができる。以上2整備を、離島地域が取り入れるべきリスク改善策の方向性ととらえ、その可能性について評価を行う。
2−2. 研究の方法および研究対象
本研究では研究対象として、離島振興法指定により継続的な統計調査が行われていることなどを理由に、Table-1に示す全国302の離島を選定した。

Table-1. Subject of study

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3. 人口問題にみる離島リスクの評価(分析?)
ここでは,離島の地理6分類 注3)を用い、研究対象離島を立地特性から6つに分類した上で、分類毎に系年変化による離島人口増減率を評価することにより離島が抱えるリスクの地域間の推移を評価する。なお,系年変化の指標は昭和50年から平成2年の間の国勢調査年の国勢調査人口(以下、人口と略称する)を用いた。その結果をFig.-2に示す。表より、昭和50年から55年にかけて人口増減率の低い分類は、群島型属島、孤立小型離島など、面積が比較的小さく、本土地域との接触も困難であるなど立地特性において制約が高いと考えられる分類に、リスクのより高い傾向がみられた。しかし近年では、内海、外海にかかわらず本土に近接した、一般に立地特性の制約が少ないと考えられ

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Fig.-2 Geographical 6-types and population problem

 

 

 

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